東畑開人さんの『居るのはつらいよ』読了~。

「ケアとは何か?」「セラピーとは何か?」という根本的で原理的な問いを追いながらも、デイケアを舞台にした小説のように読ませる部分もあり(小説だとするとちょっとベタだけど、挿絵がすごく良くて)グッと引き込まれて一気に読んでしまった。デイケアのことを書くのは至難の業だと思うけど、こういう書き方があるのか!と驚きました。なかなかの秀作じゃない?これ。

問いがリレーのように繋がっていくのも良かった。焦点となる大きな問題に対して問いをリレーしていくことで答えていくというのは学術論文としてはお手本のようです。内容も明快でわかりやすかった(ガタリ読みの私としては、視点の違いでうまくハマらないところも多々あったけど、それはガタリ読みが異端なのでまぁしょうがないか。制度精神療法とは相性悪くないかも)。他にも勉強になる点がたくさんありましたが、細かいので端折ります。

一点、けっして批判ということではないけど引っかかったのは、この著書の議論上の到達点である。これって実践的にいえば出発点なんじゃないのかという気がする。要するに一冊かけて問題提起にたどり着いたというか、そこから先が知りたいんやけどという思いが強く残ってしまった。どうして自分がここに引っかかるのか、この引っかかりにどんな意味があるのか、うまく説明できんけど……(ここがガタリ読みのポイントか?)。まぁ、研究会で言葉にできれば。もう二、三度読み返すことになると思うので、より精度を上げて質問を作っていきます。

 

さて、次はこれ。

問いかける技術――確かな人間関係と優れた組織をつくる

問いかける技術――確かな人間関係と優れた組織をつくる

 

 質問系の読書はとりあえずこれでおしまい。