読了。マジョリティ男性のひとりとして著者らに応答できるとしたらどんなことがいえるのかと考えながら読みましたが、全然まっとうな言葉が見つかりませんでした。マジョリティが言葉を失う領域(あるいは言葉が空疎になって暴力に転化しうる領域)が徐々に広がってきていて、そこに留まりたくなければどう応答の言葉を新たに紡ぎ出していくのかが課題となるような時空間に自分がいることをヒシヒシと感じます。新年早々、痛みの伴う読書となりました。

 

こちらも読了。こちらは一橋の久保ゼミに誘われて半期かけて読みました。何度か読んだはずですが、今回じっくり読めたことでデ・カストロドゥルーズへの傾倒っぷりがよくわかりました。ちょっと傾倒が過ぎる気もしますが、そのうえで「[構造がないわけではない]構造なき構造主義」など自身のユニークなヴィジョンを提示できているので、テキスト紐解き系の研究者である自分と対比して感心する部分もあります。

また人類学の教員・学生さん・院生さんとワイワイガヤガヤ読めたことで、哲学領域からは見ることができない角度で議論を追えたように思います。ありがとうございました。翻訳は大変な作業なので間違いは避けがたいところですが、「強度」と訳すべきところを「インセスト」と訳しているところがあって何だか感慨深いものがありました。