メモ

ガタリLa Révolution moléculaireの2012年版をぼちぼち読んでいる。2012年版とわざわざ書くのは、これ以前の版にはないテキストや以前のテキストのロングヴァージョンが収められているから。なので邦訳『分子革命』には入ってないテキストがいくつもある。ちなみにRMは初版、10/18版、そして2012年版があって、邦訳は10/18版を元にしてたんだったかな。

その2012年版なかでちょっとおもしろかったのは、ガタリがS.P.Kという集団を紹介し、高く評価している記事である。詳細までは触れられていないがだいたい以下のような感じ。

S.P.KとはSozialistisches Patientenkollektiv(英:Socialist Patients' Collective、邦:社会主義患者集団)の略称で、1970年に西ドイツのハイデルベルク大学の総合診療所で結成された(病者40人からなるセラピーグループだった)。

ヴォルフガング・フーバー(Wolfgang Huber)という医師が関わっていたようだが、ガタリはこの集団がすべてのことを病者らが決定していたことを評価している(これはイギリスの反精神医学運動のレインやクーパー、イタリアの脱施設化運動のバザーリア、ジェービス、フランスの制度精神医学のウリといった精神科医による主導の動きと対置させてのことのようだ。ちなみに『分子革命』の頃のガタリはレインやクーパーを精神分析主義としてバッサリ批判。制度精神療法もその筋で批判している)。

また精神医療に対する批判的活動という平面ではなく、活動家らと連帯して監獄や学校、セクシャリティや中絶の問題とも関わりをもった政治闘争という平面でS.P.Kが活動したことを評価している。

結構激しい闘争があったのか、都市の上をヘリコプターが飛び、300人の武装した警察官がS.P.Kの事務所を捜索、メンバーの逮捕、それに続く裁判など厳しい扱いを受けたようである。

精神医学に対抗する当時のドイツでの動きを知らなかったので勉強になりました。

Wikipediaにも載っているので関心のある方はどうぞ。

en.wikipedia.org

ちなみに聞きなれないイタリアのジェービスさんはこの方。バザーリアといっしょに働いていたことがあるようですね。

it.wikipedia.orgイタリア語ですが、グーグル翻訳を使えばだいたいわかります。