谷川俊太郎「生きる」をアレンジしてポエトリーにラップする若者。

そんな若者が24歳ですでにこの世を去っているということ。


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読了。扉に「坂部恵に捧ぐ」とあってもおかしくないくらい坂部恵の発想を引き受け展開した内容でした。

フランス現代思想の前史を「バロック」というキーワードで掘り起こしていくという論旨で、ざっくりいえばカント哲学を乗り越えるために新カント派を批判的に受容した19世紀から20世紀初頭の独創的な哲学者たちの思考のバロック性を明らかにし、共振させていく感じか。

第一部で「バロック」の軸となっていた「モナド」や「パースペクティブ」といった概念が第二部で消えるのでバロックをめぐって若干混乱するが、その分「感性」が前面に出てくることでカント哲学をどう乗り越えようとしたのかがわかりやすくなっているともいえる(一方でカント哲学の枠組み自体が議論の土台として温存されているともいえるが)。

坂部恵『モデルニテ・バロック』を不勉強なので読んでいないため、この本も十分に読めたとはいえないが、こういう自分の系譜を辿る知的な旅という営為は哲学をやるうえで必要かもなと思ったりしました。今のところ自分が何の線上に立って物事を考えているのか全然わかってないから足場がグラグラですw

なんにせよ久しぶりに密度の高い研究を読めました。これから3月にやるらしいイェルムスレウ関連イベントに向けて準備に入ります。