ゲザ・ローハイム『精神分析と人類学』上巻、読了。原著は1950年に出版。ローハイムは人類学者だが、フェレンツィから教育分析を受けて分析家になっており、「精神分析学的人類学」という看板を掲げて活動していたようである。「フロイト左派」に位置付けられるそうな。『アンチ・オイディプス』でチラッと登場します。

本の中身はオーストラリアのフィールドワークを通して神話や未開人の夢を精神分析していくもの。フィールドはマリノフスキーのと近いか被っているようだが、マリノフスキーが否定したのとは違ってオイディプス・コンプレックスの普遍性をガンガン見出していく、というか当てはめていく……解釈が強引で「えぇっ!?」ってなります。上巻は各論という感じでしたが、下巻が総論になっているようなので何を言い出すか、ちょっと楽しみ。

 

ピエール・クラストル『国家に抗する社会』読了。D-Gと人類学研究会、8月の課題図書の一冊。論集のようでいて最終章でそれらが収斂してくる書き方は感銘を受ける。論旨もシンプルだし。こいつ、かしこやな。

 課題図書のもう一冊はこちら。

政治人類学研究 (叢書 言語の政治)

政治人類学研究 (叢書 言語の政治)

しかし、読んでも読んでもどこかに向かっている気がせんな……まぁ、とりあえず今進めている本書きの補強になればいいのやが。