読了。

サルトルの『弁証法的理性批判』の1巻目。ながい、むずい、つらい読書だったがなんとか読了。邦訳で全3冊なので残り2冊。

『狂気と家族』は反精神医学関係の著作で、病者と家族とのコミュニケーションの在り方に焦点を当てたドキュメント(治療技法論ではない)。全11家族の事例が記載。ちなみにこの本は上で挙げた『弁証法的批正批判』の影響を受けており、病者の不可解な言動や症状を、病者の罹っている病いのプロセスとしてではなく、病者が自身の置かれている欺瞞的な状況に対抗するプラクティスとして理解し直すことで可知的にするという方法論を『弁証法的理性批判』から採ってきている。

狂気と家族【新装版】

狂気と家族【新装版】

『狂気をくぐりぬける』はメアリー・バーンズの「死と再生の旅」について、メアリー当人と精神科医のジョセフ・バークの視点からそれぞれ描かれている。1965年にはじめられた反精神医学の実践拠点キングスレイ・ホールのドキュメントでもあり、上の『狂気と家族』の著者であるレインとエスターソンがそれぞれレーニン的/スターリン的にふるまい、分裂していった様子も短く描かれていておもしろい。

ついでに言うと、レイン系列の反精神医学は①サルトルの思想、②グレゴリー・ベイトソンのスキゾフレニー論(家族療法)、③メラニー・クラインやウィニコット精神分析が流れ込んでおり、哲学思想的には「なんかすごいの出てきそう!」という領域といえるが、(ガタリの批判を出さなくても)現在からみればやはり時代がかっているかな~という印象。しかし、なぜそういう印象を持つのかを考えんとなぁ。

しばらくはサルトルと反精神医学を引き続き。あとレヴィ=ストロースの『親族の基本構造』か。課題図書が多いなぁ。はやくピエール・ジャネに行きたい。

 

ついつい漫画にも手を出してしまったが、おもろかったっす。